おぼろな…

 @ 皇室とわたし

 A あの時、何が
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 ├ 平成皇室年表
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 └ ひとつの推察

 B 聖性のありか
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 └ あべこべの世

 C 素朴な疑心
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 ├ 託したいもの
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 └ 囚われ人たち

 D 皇統と未来
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 └ みなに笑顔を

 

聖性のありか

2015.04.11

 ご高齢の陛下のお気持ちは、伺い知れません。 過去から連綿と続く天皇というお立場の、その苦しみも分かりません。 ただその役割を日々堅実にお勤めくださること、私も心からありがたく、尊敬の念を持っています。

 しかし、不敬ながら言わせてください。あの時もし賢帝なら、こう仰ったでしょう、と。

 「秋篠宮夫婦の気持ち、ありがたく受け止めます。 私のために男の子を作りたいと、心を砕いてくれて、宮内庁長官もその道筋を作ってくれました。 しかし私は、私を支えてくれる皇后や東宮夫妻ともよく話し、ひとつの結論を出しました。

 今後、男の子が一人二人生まれたとしても、将来の皇統の危機は変わりません。 何より、それによって本来の解決が先送りにされたり、滞ってしまってはいけません。

 また、そこに何らかの作為があれば、きっと国民から見透かされ、あとに見放されます。 私たち家族においても、将来の皇統においても、また国民との紐帯においても、わだかまりや火種や禍根を残すでしょう。

 もし作為のもと男子が生まれて、物心がついた日、きっと生まれのいわれを聞かれるでしょう。 あなたは正直に答えられますか。 またそれは、未来の東宮妃や宮妃に対しても、悪しき前例として伝わり、暗に強制することになります。 それを天照大御神はどうご覧になるでしょう。その行為の結果生まれた子に神意は宿るでしょうか。

 今、皇室典範の改正に向けて、政治が動き出している重要な時期です。 この窮屈な継承法を改めることに、私も異論はなく、国民も理解を示してくれています。 そのような時期に、宮家が子供を作り、混乱を招くような行為は、厳に慎まなければいけません。」

 ──以上は、しがない庶民の、今はもう遅い夢、儚い想像です。

 もし、先代の昭和帝であれば、きっとそのように仰っていたのではないか、と。 そして幼少期からその薫陶を受けていた浩宮(現皇太子)も、 またその妻で国際的な視野をお持ちの雅子さまも、そんなお考えだったのではないか、と。

 しかし、平成の陛下は違いました。それを止めず、隠れてそれを行わせてしまった。

 即位の礼で「憲法を遵守」すると公言した天皇です。 その、日本の象徴が、一宮家夫婦とともに、憲法を破りました。 また、倫理の手本であるべき天皇が、人倫にもとることを行わせました。 大変な矛盾がそこにあります。

 冒頭を繰り返しますが、私のイメージの中の明仁天皇は、とても誠実で尊敬できる人です。 しかし起きた現実を直視すると、その実態は崩れざるを得ない。

 さらに哀しいのは、こうした事柄が、日本という島の中では隠せても、海外の王室からは見透かされているらしい、ということです。 あんな事があれば当然でしょう。 そして、高齢の両陛下がそれに気付いていないなら、なおさら恥です。

 以前、新人の警察官が、ある種の踏み絵として、裏金作り(有印私文書偽造)をさせられていました。 それを受け入れられない人は、組織の中で窓際に追いやられ、酷い扱いを受けます。 法を守るはずの警察の、なんという矛盾でしょうか。

 モラルを守ろうと、内部告発をした人は、大変苦しい立場に追いやられる。 ムラ社会、日本の陰部、その縮図を見ているようです。 逆にいえば、受け入れて、脱法行為をした人には、出世の道が開かれます。

 「男子さえ作れ」ば、天皇の寵愛を受けられる。その一家は賛美され、繁栄できる。

 今上陛下は、聖域たるべき皇室の中で、 甘く浅い見通しから、また年を召されて偏狭になられたのか、そういう状況を作ってしまいました。 いや、もしかしたらその背後に、目に見えない、宮内庁の闇があるのかもしれません。

 仮に、日本の庶民は、あの事にうすうす気付いている、とします。 しかし、遠い遠い皇室という御上のすることですから、誰にも責められません。 ただ押し黙って、「御上のしたことだから」と、知らないフリをして、従うほかありません。

 それこそ、日本の臣民が取るべき振る舞いでしょうか。すると私は、「賊臣」です。

 単にそれで済めばいいのです。 しかし当然、それはじわじわと大衆のモラルを侵食していきます。 本来、批判すべき不徳の対象を、逆に賛美・支持しなければいけない矛盾。 頭と行動は裏腹、"あべこべ"の状態になります。

 あれから、5年、8年と経ち、蓋をされたような気分の中、 その鬱屈感は溜まっていき、やがて噴出します。 噴出先はどこでしょうか。それが皇室であれば、「最上の御上」である天皇皇后に向けることは出来ません。 共犯者である宮家夫妻を責めることもできない。なぜなら天皇の後押しがあったのだから。

 "あべこべ"を通すなら、その矛先は、聖性を守ろうとした一家に向かいます。



2015.04.11
著者:知凡

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